時代小説読まない、とかいっときながら、
にわかブームです。

隆 慶一郎


先日観た舞台、新感線の「吉原御免状」の原作者、という
ことで気になり、著書をいくつか読んで見て、
一気にハマりました。


膨大な知識に裏付けされた、
躍動感のある強靭な文章。
幾重にも幾重にも張り巡らされた仕掛け、
けれど堅苦しくないケレンたっぷりの物語。
自由で、のびやかで、けれど芯が一本ピンと通った
凛々しい小説。


物語により、主人公は様々なれど、根底に流れるテーマは
一本柱のようにそびえている。

「戦い」

武力の、権力の、才能の、運命の、男と女の、心の、時代の、生きることの、
あらゆる戦い。
そこに、作者が信じる美学があざやかに貫かれている。

戦いは人の生き様を語る。
そのせいか、随所に鋼との共通点も感じずにはいられなかったり。

何より悔しいのは、著者が既に亡くなられていること。
おびただしい数の未完の物語が残されている。
また、1冊の本としては決着を得ている物語も、
おそらくは構想上この続きがあったことをうかがわせる
伏線があちこちに残っている。

地団太を踏むほどじれったい。
私は元々、完結している物語ですら勝手に空想してしまう
たちなので、
ここまでの素材を残されてしまうと、
結末を想像するだけで頭がパンクしそう(笑)。


稀有な作家がいたのだと、遅ればせながら知ると共に、
残された、決して多くはない著書を味わいたいと思う。
先日の浅田次郎が「泣ける」小説とするならば、
隆 慶一郎は、読むと背筋がピンと伸びるような、
頬が引き締まり、キッと前を見据えたくなるような、
そんな小説。


今のところ、読んだ中で気に入っているのは、
著者の作家デビュー作「吉原御免状」の続編、
「かくれさと苦界行」


あ、ちなみに萌えはないので(爆)、あしからず。